婚前特急

自分の姿はどれ程認識出来ているでしょうか。

婚前特急の主人公、池下チエは5人の男と付き合い、それらの男達に愛されている"充実した人生を送る自分"に満足していました。

しかし世界の容赦ない干渉、この場合は友人の結婚という出来事から"持っていない自分"の姿が浮き彫りになってきます。

チエは恐れ戦き、ますます身を硬くしていきます。

この映画で面白かったのが、主人公のチエは弱い自分を認められずに起こす行動がことごとく裏目に出て、ますます脆弱な自分の姿を突きつけられていくのですが、そうして自分の姿を捕らえていくうちに自分を愛していた筈の男達の自分に対する姿勢や欠落している何かまで見えてくる、という点です。

チエは一貫して男達を俯瞰した視点で観察していますが、遠回りして自分自身の姿を見つめた事で男達の姿をより明確な輪郭を持って捉える事が出来たわけです。

一方で僕はというと、意識のベクトルはどちらかというと自分に向いている様に思います。

にも関わらず自分自身の姿が見えなくなってオロオロと戸惑う事がしょっちゅうあります。

そんな時ぼんやりと薄まり頼りなくなった輪郭を取り戻してくれる鏡となるのはのはやはり自分以外の誰かなのです。


見たい物が見えなくなった時、深呼吸して別の視点からそのものを映している鏡がないか、探してみるのもいいのかもしれません。


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